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【ライブレポート】JUJU、<純喫茶JUJU>の時間旅行が完結。松任谷正隆のサプライズ登場も
Published 1 week ago
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https://barks.jp/news/1094068 JUJUが、2026年年3月にリリースした洋楽カバーアルバム『昭和洋楽 純喫茶JUJU「時間旅行」produced by 松任谷正隆』を携え、6月から全国26都市40公演を巡ってきた<JUJU HALL TOUR 2026 純喫茶JUJU「時間旅行」演出:松任谷正隆>。そのツアーファイナルを10月11日に東京国際フォーラム ホールAで迎えた。本記事では、ファイナル公演の模様をお届けしていく。 昭和の時代に日本でも広く愛された“昭和洋楽”を中心に、邦楽カバーやJUJU自身の楽曲も織り交ぜながら届けてきた今回のツアー。しかし、そこにあったのは名曲を次々と聴かせるだけのステージではない。 一通の手紙が、遠く離れた誰かの心を運ぶ。一本のカセットテープに吹き込まれた歌が、言葉では伝えきれない想いを届ける。 松任谷正隆による演出のもと、“純喫茶JUJU”を舞台に描かれたのは、音楽と手紙を通して、ある男女の恋と愛を辿っていく物語。JUJUの歌、バンドの演奏、そしてステージ前方の紗幕に映し出される映像が重なり合い、観客を過去と現在が交錯する“時間旅行”へと連れ出していく。東京国際フォーラムに、この物語の最後の一夜が訪れた。 ステージに置かれた「純喫茶JUJU」の看板が、静かに点滅し始める。 雨の街の雑踏、遠くに聞こえる救急車のサイレン、そして、その中を闊歩するヒールの音。期待感を高める映像が明けると、バンドの演奏とともにステージ下手に構えられた「純喫茶JUJU」の扉からJUJUが姿を現した。 歌っているのは、米津玄師の「さよーならまたいつか!」。ところがそこへ、バンドメンバーによる「APT.」や「Bling-Bang-Bang-Born」が次々と入り込み、予想外のマッシュアップ状態に。ツアーファイナルの幕開けから、いったい何が起きているのか。 「有楽町にお越しの皆さま、こんばんは! 純喫茶JUJU 時間旅行 有楽町店へようこそお越しくださいました!」というJUJUの挨拶とともに、その意図が明かされていく。この店は、もともと「スナックJUJU」。しかし、そのママは2024年の夏を境にしばし不在にしており、現在はJUJUが店を間借りし、改装途中のまま「純喫茶JUJU」をオープンしているという。冒頭で飛び出したナンバーも、最後にママが店にいた2024年、カラオケのデンモクに残されていたヒット曲だったのだ。 茶目っ気たっぷりの設定に客席から笑みがこぼれる中、物語は早速核心へ。店の改装中、JUJUはママが大切に残していた何通もの古い手紙と、数本のカセットテープを見つけたという。どうやら若き日のママには、海を隔てて想いを寄せ合う恋人がいたらしい。言葉の壁があったふたりは、手紙だけでは伝えきれない想いを曲に託し、カセットテープに吹き込んで送り合っていた。ここから始まるのは、そんなふたりが残した手紙と音楽を手がかりに、その青春の日々を垣間見る“時間旅行”だ。 「さあ、そろそろ時間旅行に出かけましょう。ママの青春時代のお話のはじまり、はじまり」 JUJUの言葉とともにステージ前方を薄い紗幕が覆い、そこに瑞々しい森の風景が広がった。まるで現実と記憶の世界を隔てる“魔法の幕”の向こうから聴こえてきたのは、エルトン・ジョンの「Your Song」。音楽に想いを託していくふたりの物語。その幕開けに、“君の歌”というタイトルを持つこの曲はあまりにもよく似合う。 森はやがて街へと姿を変え、「DOWN TOWN」が軽やかに景色を塗り替えていく。そこから響いた「守ってあげたい」。洋楽から邦楽へ、時代から時代へ。松任谷正隆の演出は、その境界を意識させることなく、観客を音楽と映像の旅へと連れ出していく。 ここでJUJUは、手紙について語り始めた。文字の形や行間から、言葉にならない何かまで伝わってくること。そして返事を待つ時間が、心の中で何かを育てていくこと。電話やLINEですぐにつながることのできる今とは異なる、手紙を交わす時間に思いを馳せる。 やがて開かれたのは、崖から落ちそうになったふたりを想像する恋人からの手紙。愛する人が自分を支える手を離せば、彼女だけは助かるかもしれない。そのとき自分なら、その指を一本ずつほどいて谷底へ落ちていくだろう。それこそが自分の愛なのだ、と。 その強烈な愛の言葉に応えるように、ビー・ジーズの「How Deep Is Your Love」が響き出す。紗幕にはひとりの男の姿が浮かび、JUJUの歌によって、それまで輪郭のなかった恋人の存在が少しずつ立ち上がっていく。終盤、〈How Deep Is Your Love〉と幾重にも重なるコーラスにストリングスが寄り添い、その中心をJUJUの歌声が貫く。手紙に綴られていた“愛の深さ”が、今度は音楽となって会場を包み込むようだった。 その余韻を残したまま、景色は荒野を進む列車の旅へ。エルヴィス・プレスリーの「Love Me Tender」を、JUJUは純喫茶のカウンターに腰掛け、グラスを傾けながらゆったりと歌う。その佇まいはなんとも洒脱だ。間奏ではピアノとピッツィカートが軽やかに跳ね、まるで車窓を流れていく景色を眺めているかのように音楽が進んでいく。 その旅路の先で響いたのは、松田聖子の「SWEET MEMORIES」。ここまで来ると、この“時間旅行”が単に“昭和洋楽”を辿るだけのものではないことに気づかされる。洋楽も邦楽も、過去も現在も越えていく。その中心にあり続けるのは、いつの時代も変わることのない、誰かを想う気持ちだ。 「ママの目線でも、ママの彼の目線でも、そして何よりも皆様自身の話として見てくれてもいい」。JUJUはそう語り、この物語を誰の目線で見るのかさえ観客に委ねる。ママと恋人の物語でありながら、それぞれが歩んできた人生や、誰かを愛した記憶を重ねてもいい。ここから“時間旅行”は、さらに深い場所へと向かっていく。 再び開かれた手紙には「愛は孤独を照らす灯りだ」と。そこから綴られていくのは、愛というものを捉えようとするいくつもの言葉だった。愛は自分勝手で、いびつで、二度と同じ顔をして現れない。そして、誰かを思うときにしか見えない“鏡”でもある。 「そして僕は君を愛している」 その告白を受け取るように、ビリー・ジョエルの「Honesty」が静かに始まった。紗幕を染めるのは、赤い木々にも、身体の内側にも見える深紅のグラフィック。〈Honesty is such a lonely word〉――誠実さを求める歌が、ママと恋人の物語のなかに置かれることで、何度も耳にしてきたはずの名曲が新しい表情を見せる。歌そのものが、手紙の続きを語り始めるのだ。 「Honesty」が残した孤独の影は、そのまま「Superstar」へと滲んでいく。JUJUのボーカル、バンドとストリングス、紗幕に映し出される映像。そのすべてが溶け合いながら、観客を幻想的な世界のさらに奥へと誘っていった。 次の手紙に登場したのは、一匹の猫だった。恋人の家の玄関前に現れ、何時間経ってもそこから動かず、何かを伝えたそうにこちらを見つめている。遠く離れた彼女の思いが海を越え、この猫を通して何かを伝えようとしているのではないか――。そんな想像の果てに記されていたのは、ただひと言「君に会いたいよ」だった。 その切実な言葉に呼応するように、五輪真弓の「少女」が静かに始まる。JUJUは再びカウンターに腰掛けて歌う。物語で描かれるのは雪の中にひとり佇む少女の姿。先ほどの手紙に登場した猫が、その少女を見つめているようにも思えてくる。もちろん、それが唯一の正解ではない。ひとつの手紙、ひとつの歌、ひとつの映像から、観客それぞれの中に異なる物語が生まれていく。それこそが、このステージの面白さなのだろう。 そんな想像の世界を、印象的なベースラインが鮮やかに塗り替える。「It’s Too […]