Episode Details
Back to Episodes
Ep.1345 Anthropic、AIエージェント「Claude Cowork」をWebとモバイルへ展開──利用の9割は「非エンジニア業務」(2026年7月9日配信)
Description
タイトル
Anthropic、AIエージェント「Claude Cowork」をWebとモバイルへ展開──利用の9割は「非エンジニア業務」
このエピソードで登場するキーワードを説明します。
Anthropic: 米国の有力AIスタートアップ。大規模言語モデル「Claude」シリーズを開発し、AIの安全性向上とエンタープライズ向けの実用化において業界を牽引している。
Claude Cowork: Anthropicが提供する知識労働者向けAIエージェント。ユーザーに代わってローカルのファイルやアプリを直接操作し、複数ステップにわたるタスクを自律的に処理する。
The work around the work: 本来の専門業務を遂行する上で発生する、資料の整形やデータの転記といった「周辺作業」を指すAnthropicの造語。現在のAIエージェントにおける最大のユースケースと位置づけられている。
それでは解説に入ります。
Anthropicは2026年7月7日、デスクトップ専用として提供してきたAIエージェント機能「Claude Cowork」をWebブラウザおよびモバイルアプリへ拡張すると発表しました。Claude Coworkは、ユーザーが指示を出すだけで、PC内のファイル整理や複数のアプリケーションをまたいだデータ集計などを自律的に完結させる強力なツールです。しかしこれまでは、処理の途中でPCを閉じるとタスクが強制終了してしまうという課題がありました。今回のアップデートにより、一部のタスクの実行基盤がクラウド上へと拡張されました。ユーザーは外出先からスマートフォンでClaudeに指示を出し、PCがスリープ状態であってもバックグラウンドで処理を継続させ、完了通知や確認のプレビューをモバイル端末で受け取ることが可能になります。重要な判断が求められる場面では処理を一時停止し、人間の承認を待つ安全設計も維持されています。
今回の発表で市場の耳目を集めたのは、機能拡張そのものよりも、同時に公開されたClaude Coworkの驚くべき利用実態です。生成AIのエージェント化といえば、これまで自律型プログラミングなどのソフトウェア開発領域が主戦場だと見なされてきました。しかしAnthropicのデータによると、Claude Coworkにおけるコーディング関連の利用は全体のわずか8.7パーセントに過ぎません。利用シェアのトップは「ビジネスプロセスとオペレーション(33.4パーセント)」であり、次いで「コンテンツ作成とコピーライティング(16.4パーセント)」が続きます。実に全体の9割以上が、エンジニアリング以外の一般的なオフィスワークに充てられていました。
Anthropicはこの状況を「The work around the work(本来の業務の周辺にある作業)」の自動化と定義しています。散在するスプレッドシートの統合、経費精算のフォーマット変換、会議録からのプレゼン資料作成など、誰もが日常的に抱えながらも職務記述書には書かれないような「作業と作業のつなぎ目」の業務です。開発者向けの高度なコーディング支援で覇権を争う巨大テック企業が多い中、Anthropicはいち早く一般のナレッジワーカーが抱える膨大な周辺業務へとターゲットをシフトしました。今回の展開によって、時間と場所に縛られない真の自律型AIアシスタントがビジネスの現場に定着していくことになりそうです。
今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。