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Ep.1278 日立とIntelがタッグ──「フィジカルAI」で現実世界の産業を変革する(2026年6月11日配信)
Description
タイトル
日立とIntelがタッグ──「フィジカルAI」で現実世界の産業を変革する
このエピソードで登場するキーワードを説明します。
日立製作所: 鉄道から電力、工場設備まで幅広い社会インフラを支える日本の総合電機メーカーです。現場の機器を動かす「OT(制御・運用技術)」とITを組み合わせた事業を得意としています。
Intel: パソコンなどの頭脳であるCPUを長年リードしてきた米国の巨大半導体メーカーです。近年は自社製品だけでなく、他社からの製造請負(ファウンドリ事業)やエッジAI向けの技術開発に注力しています。
フィジカルAI: コンピューターの画面内だけで完結するのではなく、現実世界のロボットや工場の機械、センサーなどの物理的な機器と連動して機能するAI技術のことです。
それでは解説に入ります。
2026年6月5日、日立製作所とIntelは、製造業やエネルギー、モビリティといった主要な産業分野において、AIを活用した変革である「AIトランスフォーメーション」を加速させるための戦略的協業を発表しました。この提携がめざす最大の目標は、最先端のAI技術をクラウドの世界から引き出し、現実の工場や電力網といった物理的な世界に直接実装する「フィジカルAI」を普及させることにあります。
現在、世界のAI半導体市場ではNVIDIAやAMDといった企業がデータセンター向けを中心に激しいシェア争いを繰り広げていますが、AIの主戦場は徐々に、現場の機器で直接データを処理するエッジ領域へと広がりつつあります。今回、高度な半導体製造の基盤を持つIntelと、インフラや産業機器の制御において長年の実績を持つ日立が手を組んだことは、現実世界へのAI実装を一気に押し進める一手として、海外の経済メディアなどでも広く報じられ注目を集めています。
両社は今後、5つの重点領域で連携を深めていきます。中でも特に相互の強みが活かされるのが、半導体製造とエネルギー最適化の分野です。半導体製造の領域では、日立が持つ極めて精度の高い計測装置のデータをフィジカルAIで分析し、Intelの半導体工場における不良品の削減や開発期間の短縮につなげます。一方でエネルギー分野においては、Intelの大規模な半導体工場に日立の電力運用システムを導入して効率化を図るとともに、Intelから日立に対しては電力制御に欠かせない高耐圧半導体が供給される計画です。このほかにも、量子コンピューティングの共同開発や、工場を自動化するファクトリーオートメーションの領域でも強固な協力関係を築いていきます。
これまでのAIブームは、文章を書いたり画像を生成したりといったソフトウェア上の生成AIが中心でしたが、日立とIntelの協業は、社会インフラという巨大な物理システムそのものをAIで賢く、そして強靭にしていくための実用的な挑戦と言えます。日本とアメリカを代表する巨大テクノロジー企業が互いの弱点を補い、強みを掛け合わせることで、私たちのビジネスや生活を支える基盤がどのようにアップデートされていくのか、今後の展開に大いに期待が持てますね。
今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。