Episode Details
Back to Episodes
Ep.1291 日立とGoogle Cloudが協業拡大──現場を動かす「フィジカルAI」とFDEの力 (2026年6月11日配信)
Description
タイトル
日立とGoogle Cloudが協業拡大──現場を動かす「フィジカルAI」とFDEの力
このエピソードで登場するキーワードを説明します。
日立製作所: 日本を代表する総合電機メーカーであり、社会インフラやITシステムなどを幅広く手がけています。近年は「世界一のAIの使い手」を掲げ、AIの社会実装を強力に牽引しています。
Google Cloud: 米Googleが提供するクラウドコンピューティングサービスです。高度なマルチモーダルAIモデル「Gemini」などを活用し、企業のビジネス変革を支援しています。
FDE (Forward Deployed Engineers): 顧客の事業現場に直接入り込み、課題を特定しながらアジャイルにAIの有効性を検証し、圧倒的なスピードで実装まで導く最前線のエンジニア集団のことです。
フィジカルAI: コンピューターの画面の中だけで完結するのではなく、現実世界の機械やセンサー、インフラ設備などの物理的な機器と連動して自律的に機能するAI技術のことです。
それでは解説に入ります。
2026年6月9日、日立製作所とGoogle Cloudから、AIを現実世界のビジネス現場に実装するための戦略的アライアンスを拡大するという、とても前向きな発表がありました。この協業の核となるのは、FDEと呼ばれる現場密着型のエンジニアと、フィジカルAIという新しい技術の掛け合わせです。
これまで企業のシステム開発といえば、会議室で長い時間をかけて要件定義を行ってから作り始めるのが一般的でした。しかし、進化の早いAIをビジネスで活用するには、そうしたやり方では間に合いません。そこで日立は、FDEと呼ばれるスペシャリストたちを顧客の現場へ直接派遣し、何が起きているのかを自らの目で確かめながら、その場でAIの有効性を検証して素早く本番環境へ移行させるという実践的なアプローチをとっています。今回の提携拡大により、日立グループのエンジニアとGoogle Cloudのトップエンジニアが深く連携し、このFDEのさらなる育成と強化を図っていくことが明かされました。
さらに、技術的な進化も見逃せません。日立が展開している産業向けのデジタルアセットマネジメント基盤「HMAX」に、Googleの高度なAIである「Gemini Enterprise」が強力に組み込まれます。Geminiは、映像や音声、センサーの数値など、複数の異なる情報を同時に理解するのが得意なAIです。これを利用することで、例えば製造業の工場や社会インフラの保守点検現場において、AIが現場のカメラ映像から異常を察知し、自律的に判断してサポートを行うといった「フィジカルAI」の社会実装が一気に加速することになります。また、AIを悪用した巧妙なサイバー攻撃から企業のシステムを守るためのセキュリティソリューションの提供でも、両社はしっかりと手を結びます。
ここ最近の日立を見渡してみますと、Anthropicの強力なセキュリティAIを導入したり、IntelとフィジカルAI領域で提携したりと、世界のトップテクノロジー企業と次々にタッグを組んでいます。自らを「世界一のAIの使い手」と位置づけ、ラボの中の実験にとどまらず、私たちの社会を支える泥臭い現場の課題をAIで解決しようと奮闘する日立の動きは、日本の産業界全体にとって非常に頼もしいニュースですね。これからのインフラの進化がますます楽しみになります。
今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。