Episode Details

Back to Episodes
Ep.1186 ソフトバンクが挑む“電力の内製化”──AIインフラを支えるギガワット級の国産バッテリー事業(2026年5月14日配信)

Ep.1186 ソフトバンクが挑む“電力の内製化”──AIインフラを支えるギガワット級の国産バッテリー事業(2026年5月14日配信)

Season 1 Episode 1186 Published 2 months, 2 weeks ago
Description

タイトル


ソフトバンクが挑む“電力の内製化”──AIインフラを支えるギガワット級の国産バッテリー事業


このエピソードで登場するキーワードを説明します。


ソフトバンク: 国内大手通信キャリア。近年は大規模なAIデータセンターの構築を進めるなど、次世代のAIインフラ企業への転換を強力に推し進めています。


亜鉛ハロゲン化物バッテリー: 電解液に可燃性の有機溶媒ではなく「真水」を使用する革新的な電池技術。リチウムやコバルトなどのレアメタルに依存せず、原理的に発火のリスクがないのが大きな特徴です。


BESS (Battery Energy Storage System): 蓄電システムのこと。再生可能エネルギーの効率的な利用や、データセンターへの電力供給を安定させるための基盤として、世界中で需要が急増しています。


それでは解説に入ります。


AIが社会のあらゆる場面に浸透していくこれからの時代において、「電力」は最先端の半導体と同じくらい重要な競争の源泉になっています。2026年5月11日、ソフトバンクはAIの普及に伴って急拡大する電力需要を見据え、ギガワット時規模の「国産バッテリー事業」を立ち上げると発表しました。


具体的には、最先端の技術を持つ韓国のスタートアップ2社(COSMOS LAB、DeltaX)と協業し、発火リスクのない「亜鉛ハロゲン化物バッテリー」や、世界最高水準のエネルギー密度を誇る蓄電システムを開発します。製造の舞台となるのは、大阪府堺市にある旧シャープの工場跡地です。ここに「GXファクトリー」という新たな製造拠点を構え、2027年度には製造を開始、翌2028年度をめどに大規模な量産体制を整え、2030年度には年間1,000億円以上の売り上げを目指すという、非常にスピード感とスケールの大きな計画が示されています。


このニュースの背景には、世界中で過熱するAI開発と、それに伴う深刻な電力不足の懸念があります。海外メディアの報道などを紐解きますと、世界のテクノロジー業界では今、「計算能力(コンピューティング)とエネルギーの確保」が表裏一体の課題として語られています。現在、世界の大規模蓄電市場では、安価な中国製のリチウム鉄リン酸塩(LFP)電池などが主流となっていますが、ソフトバンクがあえて新しい「亜鉛ハロゲン化物バッテリー」を採用した点には深い戦略が垣間見えます。水を使うことでデータセンターにおける火災リスクを排除できるだけでなく、特定の国に依存しがちなリチウムやコバルトを使わないため、地政学的なサプライチェーンの分断リスクを大きく軽減できるからです。


ソフトバンクグループが掲げる「AI革命」を実現するためには、強固なインフラ網の構築が急務です。これまでも再生可能エネルギー事業や通信ネットワークを手掛けてきた同社ですが、今回のバッテリー事業参入によって、「自前で発電し、安全に蓄電し、AIを処理して、通信で届ける」という一気通貫の「電力の内製化」に向けた本気度が伺えますね。世界のAI競争がソフトウェアやチップの枠を超え、巨大な電力システムを巻き込んだ総力戦へと移行する中、日本発のクリーンで安全なインフラ技術がどのように世界へ羽ばたいていくのか、今後の展開を温かく見守っていきたいところです。


今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。

Listen Now

Love PodBriefly?

If you like Podbriefly.com, please consider donating to support the ongoing development.

Support Us