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Ep.1137 TSMCが2029年までの新ロードマップを発表──AIとスマホで分かれる半導体の未来戦略(2026年4月30日配信)
Description
2026年4月22日、世界最大の半導体ファウンドリであるTSMCは、北米で開催されたテクノロジーシンポジウムにて、2029年までの製造プロセス技術の最新ロードマップを発表しました。今回の発表で特に注目すべきは、TSMCがスマートフォン向けと、AI・データセンター向けで、明確に異なる二つの戦略を打ち出した点にあります。
スマートフォンのようにコストや省電力性が重視される分野では、「N2U」や「A13」といった技術を投入し、既存の設計を活かしながら毎年小刻みに改良を重ねていく堅実な路線をとります。一方で、巨大なAIやスーパーコンピューター向けには、採算よりも限界突破の性能を最優先に考えます。その切り札となるのが、チップの裏側からも効率的に電力を供給する最新技術を搭載した「A16」や、それに続く「A12」といった最先端のプロセスです。ただ、開発の難易度は極めて高く、ケビン・チャン副社長はA16の本格的な量産開始がお客様の要望などの影響で当初の市場予測から少し遅れ、2027年になることも明かしました。
周辺の競合状況に目を向けると、このTSMCの戦略はライバルであるアメリカのインテルと鮮明なコントラストを描いています。インテルは次世代の超高額な製造装置であるHigh-NA EUVを他社に先駆けて大量導入し、製造技術の遅れを一気に取り戻そうと猛追しています。これに対しTSMC側は、優秀な研究開発チームの努力により、少なくとも2029年までは高額な次世代装置を使わずとも現在の設備の延長線上で十分に技術を前進させられると自信を見せました。市場や業界の専門家は、最先端の性能を追求しつつも、高額な設備投資を冷静にコントロールするTSMCのしたたかなコスト管理能力を好感的に受け止めています。
AIの進化の裏側で静かに、しかし激しく繰り広げられる、数ナノメートルを巡る知恵比べ。私たちの暮らしをさらに豊かにしてくれるテクノロジーの競争は、これからも熱を帯びていきそうですね。