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Ep.1142 国産AIの逆襲──PC操作を自律化する「KARAKURI VL2」が拓く現場主導の自動化(2026年4月30日配信)
Description
2026年4月20日、AIスタートアップのカラクリ株式会社は、人間のようにPCを自律操作するAIモデル「KARAKURI VL2」を開発し、その仕組みを無償で公開したと発表しました。この開発は、経済産業省の生成AI支援プログラム「GENIAC」の第3期プロジェクトの成果として生み出されたものです。
この「KARAKURI VL2」の最大の特徴は、80億パラメータというAIとしては非常に「軽量」なサイズに設計されている点です。これにより、機密データを外部のクラウドサーバーに出すことなく、企業独自の安全な社内ネットワーク内でAIを動かすことができます。さらに驚くべきことに、カラクリが独自に作成した日本語PC操作の評価テストにおいて、画像編集ソフトやメールソフトの操作といった特定の業務領域では、世界トップクラスの性能を誇る海外の巨大AIモデル「Claude Sonnet 4.6」をも上回る高い精度を記録しました。
周辺の市場動向に目を向けてみますと、現在、世界ではOpenAIやGoogle、Anthropicといった海外の巨大テック企業が、何でもこなせる汎用的なAI開発で熾烈な覇権争いを繰り広げています。しかし、日本の企業、特に機密情報を扱うカスタマーサポートや金融、行政機関においては、「海外のクラウドに重要なデータを預ける不安」や「日本特有の複雑な業務システムに対応しきれない」といった切実な課題がありました。カラクリ社は、海外の巨大モデルと同じ土俵で真っ向勝負するのではなく、特定の業務に絞り込み、日本の産業を長年支えてきた「現場の力」をAIの知性へと昇華させるという、非常にスマートで地に足のついた戦略をとっています。
今回の発表では、AIモデル本体だけでなく、AIの性能を客観的に測るための評価基準(ベンチマーク)も国内の研究者向けに公開されました。これにより、日本全体のAI開発コミュニティがさらに活気づくことが期待されています。何でもできる万能な巨大AIも魅力的ですが、こうして私たちの毎日の実務にそっと寄り添い、手の届く範囲の面倒な作業を確実に手伝ってくれる「職人気質」な国産AIの存在は、とても温かく心強いですね。日本の現場の知恵が詰まったこのテクノロジーが、これからの働き方をどう優しく変えていくのか、引き続き楽しみに見守っていきたいと思います。