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Ep.912 16人のAI開発者、Cコンパイラを作る──Claude Opus 4.6が挑んだ「2万ドル」の実験(2026年2月12日配信)
Description
今週、Anthropicのエンジニアリングブログが更新され、ある「実験」の結果が公開されました。その内容は衝撃的です。最新モデル「Claude Opus 4.6」を搭載した16体のAIエージェントたちがチームを組み、人間の介入をほとんど受けずに、Rust言語を用いてC言語のコンパイラを開発したというのです。
このプロジェクトを率いたのは、著名なセキュリティ研究者のニコラス・カルリーニ氏です。彼らが目指したのは、単に「Hello World」を表示させることではありません。「Linuxカーネルをコンパイルして起動させる」という、コンパイラにとってのエベレスト登頂とも言える難題でした。
結果として、AIチームは約2,000回のコーディングセッションを経て、10万行にも及ぶコンパイラを作り上げました。特筆すべきは、その作業プロセスです。16体のAIは共有のGitリポジトリを使い、互いにコードを書き、マージ時の競合(コンフリクト)を自律的に解消し、テストに失敗すれば修正するというサイクルを自分たちだけで回しました。この開発にかかったAPIコストは約2万ドル(約300万円)。人間のエンジニアチームを数ヶ月雇うコストと比較すれば、破格の安さと言えるかもしれません。
もちろん、まだ完璧ではありません。ブログによれば、生成されたコンパイラには「アセンブラ」と「リンカ」が含まれておらず、そこは既存のツール(GNU binutils)を借りています。また、生成されるコードの実行効率は、最適化をオフにしたGCCよりも劣るとのこと。Hacker Newsなどの技術コミュニティでは、「ゼロから(From Scratch)というには少し語弊があるが、それでもLinuxカーネルや『Doom』をコンパイルできた事実は驚異的だ」といった冷静かつ好意的な反応が見られます。
この実験が示したのは、AIが単なる「コード補完ツール」から、「大規模なソフトウェアアーキテクチャを理解し、構築できるエンジニア」へと進化しつつある未来です。もしあなたのチームに、24時間不眠不休で働く16人のRustエンジニアが加わったら、どんなプロダクトが生まれるでしょうか?