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Ep.880 EU、Xの「Grok」を標的に──デジタルサービス法が切り込む“AIの無法地帯”(2026年1月29日配信)
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欧州委員会(European Commission)が、イーロン・マスク氏に対し、またしても重い「挑戦状」を叩きつけました。委員会は昨日、X(旧Twitter)に対し、同社のAIチャットボット「Grok」がデジタルサービス法(DSA)に違反している疑いがあるとして、新たな正式調査を開始したと発表しました。
Xはすでにコンテンツモデレーションの不備で調査を受けていますが、今回の焦点は明確に「AI」です。 具体的には、Grokが生成するコンテンツが、違法情報の拡散や選挙への悪意ある介入、ジェンダーに基づく暴力(ディープフェイクなど)のリスクを適切に評価・軽減できているかが問われています。欧州委員会は、Xが十分なリスク管理策を講じないままGrokをEU市場に展開したのではないかと見ています。
また、技術的な観点から特に注目すべきは「データ利用の透明性」です。 Xは昨年、ユーザーの投稿データをGrokの学習に利用する設定を、ユーザーへの十分な説明なしに「デフォルトでON」に変更しました。委員会はこれを、ユーザーの自由な意思決定を阻害する「ダークパターン」の一種であると指摘しており、DSAが禁じる欺瞞的な設計に該当する可能性が高いとしています。
これは、今年8月に完全適用が迫る「EU AI法(AI Act)」の前哨戦とも言える動きです。AI法が動き出す前に、既存のDSAの枠組みを使って、「プラットフォームに組み込まれたAI」をどこまで規制できるか、EU当局がその執行能力をテストしている側面があります。
もし違反が確定すれば、Xは世界売上高の最大6%という巨額の制裁金を科される可能性があります。マスク氏は「言論の自由を守るための戦いだ」と徹底抗戦の構えを見せていますが、技術的なコンプライアンスを軽視してきたツケが、AIという同社の成長エンジンの足を引っ張る形になりつつあります。