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Ep.882 「SaaSの死」が現実に?──時価総額15兆円蒸発と“AI代替”の衝撃(2026年1月29日配信)
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「ソフトウェアは死んだ」──かつてSFの世界で語られた予言が、ウォール街で現実味を帯びて語られ始めています。
日本経済新聞の報道によると、Salesforce、Intuit、Adobe、ServiceNowといった米SaaS大手4社の時価総額が、2025年末からのわずか1ヶ月弱で計1,000億ドル(約15兆円)以上も消失しました。この急落の引き金となったのが、「AIによる代替」への懸念です。
特に市場を震撼させたのが、今月Anthropicが発表した新機能「Cowork」です。 これまでのSaaSは「人間が使う道具」でした。会計ソフトなら人間が数字を入力し、デザインソフトなら人間がブラシを操作します。しかし、Coworkのような自律型AIエージェントは、PC内のファイルを勝手に開き、内容を理解し、表計算ソフトへの入力からレポート作成までを「人間抜き」で完了させます。 つまり、これまでSaaS企業が収益の柱としてきた「ユーザー数(ID数)に基づく課金モデル」が崩壊する恐れがあるのです。AIが一人で100人分の仕事をこなすなら、契約IDは1つで済んでしまうからです。
ゴールドマン・サックスなどの投資銀行も、Adobeに対して「売りの投資判断」を下すなど、厳しい見方を示しています。これまで専門スキルが必要だった画像編集などの作業がAIで誰でも(あるいはAIだけで)できるようになれば、高価なプロ向けツールの価値が希薄化するというロジックです。
もちろん、SaaSの巨人たちも座して死を待っているわけではありません。 Salesforceは「Agentforce」というAIエージェント機能を前面に押し出し、「人間を助けるツール」から「人間を雇う代わりに導入するAI」へと自社製品の再定義を急いでいます。また、ServiceNowはOpenAIと提携し、Adobeは動画生成AIのSynthesiaに出資するなど、AIを取り込むことで生き残りを図っています。
「SaaSの死」という言葉は過激ですが、それは「旧来のソフトウェアビジネスの終わり」を意味しているに過ぎません。これからは「人が使うソフト」ではなく、「AIが使うソフト」、あるいは「ソフト自体がAIになる」時代へと、業界のルールが根本から書き換わろうとしています。