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Ep.818 日の丸半導体、再始動──ソフトバンク・富士通・インテルが挑む“脱HBM”への道(2026年1月1日配信)
Description
2025年も押し迫った12月26日、日本の半導体業界にとって、そしてAIの未来にとって非常に象徴的なニュースが飛び込んできました。ソフトバンクと米インテルが立ち上げたAIメモリー開発会社「SAIMEMORY(サイメモリ)」に、かつて日本の半導体産業を牽引した富士通が参画するというのです。
このニュースの背景には、今のAI開発が抱える二つの大きな壁があります。一つは「電力の壁」、もう一つは「供給の壁」です。 現在、NvidiaなどのAIチップには「HBM」と呼ばれる超高性能なメモリーが使われていますが、これは電気を大量に消費します。また、市場の6割以上を韓国のSKハイニックスなどが握っており、欲しい時に手に入らないという供給不安もつきまといます。
そこでSAIMEMORYが目指すのは、このHBMとは全く異なるアプローチで作られる「次世代メモリー」です。 最大の特徴は、インテルの得意とする「チップを垂直に積み上げる技術」と、東京大学などが持つ「磁場の力で通信する技術」を組み合わせる点にあります。これまでのメモリーは、チップに微細な穴をあけて金属の配線を通していましたが、新技術ではなんと配線を使いません。代わりに磁気を使ってワイヤレスでデータのやり取りを行います。これにより、配線による発熱や信号の遅延を劇的に減らし、消費電力を現在の半分に、容量を2〜3倍にすることを目指しています。
ここに富士通が加わる意味は極めて大きいです。富士通はかつてメモリー生産から撤退した過去がありますが、スーパーコンピュータ「富岳」の開発などで培った「どうやってシステムとして安定稼働させるか」という実装・品質管理のノウハウは世界トップクラスです。 「インテルの製造技術」「東大の基礎研究」「ソフトバンクの事業構想」、そして「富士通の実装力」。これらが組み合わさることで、単なる研究開発で終わらせず、2027年度の実用化、そして2029年度の量産というゴールが現実味を帯びてきます。
もしこれが成功すれば、AIインフラの心臓部であるメモリー市場において、日本が再びゲームチェンジャーとして世界に躍り出る可能性があります。かつて「産業のコメ」と呼ばれた半導体が、今度は「AIの脳細胞」として、日本で再び花開く日が来るのかもしれません。