Episode 573
皆さんこんにちは、ラウンドナップ・Webコンサルティングの中山です。年末も近くなり、あれもこれもとタスクに追われ始めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ウェブマーケティングにおいても、日々の業務においても、「タスク管理」は共通のテーマであり、多くの方が悩む部分だと思います。
今回は、様々なタスク管理のテクニックの前に、まず取り組むべき最も根本的な部分についてお伝えします。私自身、多くのプロジェクトを並行して進める中で、タスク管理には試行錯誤を重ねてきました。その経験から言えるのは、今回お話しする内容ができていないと、どんなツールやテクニックを使ってもうまくいかない、ということです。
ToDoリスト、GTD、ポモドーロテクニック。色々な手法を試したけれど、結局うまくいかなかった、という経験はありませんか。その原因は、タスクを実行する「自分自身」について、客観的に把握できていないことにあるのかもしれません。
「これくらいの時間でできるはず」という思い込みと、実際の作業時間とのズレが計画を狂わせる。あるいは、「こうありたい」という理想の自分を基準に計画を立ててしまい、実行できずに自己嫌悪に陥る。こうした失敗は、自分自身を正しく理解していないことから生じます。
ここで重要なのは、「タスク管理」と「自己成長」を分けて考えることです。タスク管理の目的は、あくまで「今の自分」が持つ能力を最大限に引き出し、効率的に業務を遂行することです。一方、自己成長は、その能力の底上げを目指す、別の取り組みです。この二つを混同すると、タスクは進まず、自信も失うという悪循環に陥ってしまいます。
では、具体的に何をすれば良いのか。それは、自分自身を客観的に知ることから始まります。ポイントは大きく3つです。
まず、自分が一つの作業にどれくらいの時間をかけているのかを、ツールなどを使って客観的に記録することです。「提案書作成は3時間くらい」といった感覚値は、実際とは大きくずれていることがほとんどです。記録を続けると、自分の予想と現実のギャップに驚くかもしれません。時間帯やその日のコンディションによる違いも含めて、まずはデータとして自分を把握しましょう。
次に、自分がどういう時にパフォーマンスが上がり、どういう時に下がるのかを把握し、それを受け入れることです。人間誰しも、一日中高い集中力を保てるわけではありません。パフォーマンスには必ず波があります。
これらを観察し、「自分はこういう人間なのだ」と認めることが大切です。良い悪いを判断せず、事実として捉えましょう。
自分を客観視できたら、次はその自分を最大限に活かすための計画を立てます。具体的には、パフォーマンスの状態を3段階(高・中・低)くらいに分け、それぞれで行うタスクをあらかじめ決めておくのです。
特に重要なのが、「ローパフォーマンス用のタスク」を用意しておくことです。やる気がないから何もしない、のではなく、「今ならこれならできる」というタスクをこなすことで、自己嫌悪を防ぎ、一日を通した生産性を維持することができます。
自分を理解し、それに基づいた計画を立てることに加えて、日々の業務を円滑に進めるためのルール作りも有効です。
人間は集中力を持続させるために休息が不可欠ですが、意識しないとつい詰め込んでしまいがちです。そこで、「1時間作業したら5分休む」「外出から戻ったら10分は別の作業をする」といったように、休息をルールとして組み込みましょう。ルールにすることで、罪悪感なく休むことができ、結果的に全体の生産性が向上します。
気が進まない連絡への返信など、つい後回しにしてしまうタスクは誰にでもあるものです。こうしたタスクは、先延ばしにするほど心理的なハードルが上がります。「考えずに即開封する」「30分以内に必ず着手する」など、機械的に処理するルールを決めてしまうのが効果的です。
タスク管理は、単なるテクニックではありません。自分を客観的に理解し、その特性に合わせて仕事の進め方を最適化していく、継続的なプロセスです。これができるようになると、ToDoリストや各種の管理手法が初めて真価を発揮します。
まずは自分の作業記録を取ることから始めてみてください。思ったよりできている自分、できていない自分、色々な発見があるはずです。その現実を受け入れ、そこからどうすればもっと楽に、効率的に仕事を進められるかを考える。その積み重ねが、ストレスの軽減と自己肯定感の向上、そして着実な成果につながっていくはずです。