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第529回:そのフォーム営業、逆効果かも?信頼を積み重ねるWebフリーランスの仕事術

第529回:そのフォーム営業、逆効果かも?信頼を積み重ねるWebフリーランスの仕事術


Episode 529


ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

今回は「問い合わせフォームからの営業」がテーマです。特に、Webフリーランスや個人でお仕事をしている方が、企業サイトの問い合わせフォームから営業を送るやり方について、受け手側とフリーランス側の両方の立場から話していきます。

同時に、こうしたフォーム営業がなぜうまくいきにくいのか、その代わりにどんなアプローチならお互いにとって意味があるのか。そして、それを通してどうやって信頼を積み重ねていくのかという話にも触れていきます。

問合せフォーム営業の実際…ほとんど意味がない

まず、企業サイトの問い合わせフォームから

  • 「Web制作やってます。お手伝いできることありませんか。」
  • 「デザインやバナー制作を請け負っています。」
  • 「こんな実績があります。お困りごとはありませんか。」

といった営業メッセージを送っている方は、ほとんどの場合、それは読まれずに捨てられていると思っておいた方がいいです。

これは極端な言い方ではなく、現場の感覚として本当に近いです。問い合わせフォームに来たメールを開いて、営業だと分かった瞬間に削除。システムを入れている会社であれば、最初から営業っぽいものは自動で「×」扱いにしていることもあります。

さらによくないケースでは、

  • 差出人のメールアドレス
  • 送信者名
  • 件名のパターン

などでブラックリストに入れられてしまうこともあります。一度そうなると、その会社にはもう届いていても読まれない、という状態が続きます。

正直なところ、「フォーム営業から仕事を取れている人、どれだけいるのだろう」と感じています。

どこかに「こうすれば仕事が取れる」という手引きや塾のようなものがあるのか、ある時期から文章の書き方が似たメールが増えたりするので、背後に何かあるのだろうなと想像はしていますが、いずれにしても成果はかなり限られているはずです。

下から入り過ぎると交渉にならない

フォーム営業が厳しいもう一つの理由は、最初から立場がかなり下になってしまうことです。

例えば、

  • 「御社の都合の良い時間で打ち合わせします」
  • 「最初は破格で対応します」
  • 「ポートフォリオもあります。何でもやります」

といった条件を最初から並べると、「対等なパートナー」ではなく「何でも言うことを聞く下請け」に見えやすくなります。

仕事をきちんとした単価で、きちんとした条件で進めるには、最低限、発注側と受託側が同じ目線に立っていることが必要です。ところが、フォーム営業は入口の段階でそのバランスを崩してしまいやすいのです。

しかも、もしそこで運良く仕事が取れたとしても、

  • もっと条件の良い人が現れたらすぐ切られる
  • 単価も条件も叩かれやすい

という状況になりがちです。長期的な関係にはつながりにくく、「取れたから安心」という状態とは程遠いのが実情です。

「フォームから来る人はレベルが低い」と見られてしまうこともある

経営者や担当者の中には、フォーム営業を見ただけで、

「このやり方しかできないということは、マーケティングやビジネスのレベルもそれなりなのだろう」

と感じてしまう人もいます。私自身も、問い合わせフォームから届く一斉営業メールについては、経験上、そう感じるケースが多いです。

仕事はほとんど取れず、なんとなく悪い印象だけが残る。フォーム営業を続けることは、そうなりやすいという意味で、あまりおすすめできない方法だと思っています。

企業側の本音:「フットワークの軽い人」がいてくれたら助かる

ここまで読むと、「じゃあフリーランスや個人は必要とされていないのか」と感じるかもしれません。でも、それは違います。現場にいると分かりますが、企業側には明らかにフリーランスへの需要があります。

多くの会社が、

  • 社内にデジタルやWebが分かる人が少ない
  • デザインや更新などの細かい作業に手が回らない
  • 本来やるべき仕事に時間を使いたい

と感じています。私自身、コンサルティングの現場で「ここにフットワークの軽い人が一人いてくれたら、担当者さんはもっと本業に集中できるのに」と思うことが本当に多いです。

ただし、人を一人雇うとなると、

  • 給料
  • 社会保険
  • 採用や教育の手間

など、負担は小さくありません。そこで「外部のフリーランスにお願いできたら助かる」という本音は、かなりの会社が持っています。

しかし、フォーム営業から届くメッセージは、その「本当に欲しい人材像」とかみ合っていないのです。需要がないのではなく、需要に対してアプローチが合っていない、という状態です。

SEOのバックリンクの考え方を「営業」に応用する

では、どういうアプローチなら意味があるのか。一つのヒントとして、SEOの「バックリンク(被リンク)獲得」の考え方があります。

SEOの世界では、他サイトから自分のサイトへ貼られるリンク(バックリンク・被リンク)を「価値のある紹介」として見ます。昔からある手法の一つに、

  • 相手のサイトのリンク切れ(404など)を見つける
  • そこに代わりとしてふさわしいページを自分の側で用意する
  • 「ここリンク切れていますよ。もしよければ、このページに差し替えませんか」と提案する

というやり方があります。相手にとってもメリットがあるので、単なる「ください、ください」ではなく「役に立つ提案」になるわけです。

この考え方は、そのまま企業への営業にも応用できます。

相手のサイトをきちんと見てから「具体的な改善案」を持っていく

例えば、企業のWebサイトを見ていると、

  • 誤字・脱字がそのままになっている
  • スマートフォンで見るとレイアウトが崩れているページがある
  • お問い合わせまでの導線が分かりづらい

といったことは、少なくありません。

そういう部分をきちんと見つけて、整理して、それをもとに

  • 「お客さんの立場から見ると、こういう印象になると思います」
  • 「このままだと、せっかく見てほしいページにたどり着きにくいです」

というように、ビジネス目線に翻訳して伝える。そのうえで、

  • 「もしこういう細かいところを直す余裕がなければ、フリーランスとして柔軟にお手伝いできます」
  • 「まずは今回の改善に限って、このくらいの金額でご一緒してみませんか」

という形で提案する。こうしたアプローチの方が、フォーム営業を大量に送るよりも、よほど可能性があります。

ポイントは、

  • 「数を打つ」のではなく「相手をよく見て、少数に絞る」
  • 「お願いベース」ではなく「提案ベース」になっている

ということです。

スカスカの予約カレンダーは逆効果

最近のフォーム営業でよくあるのが、

  • 最初から打ち合わせ用の予約リンクを付けてくる
  • 「いつでも空いています」と言わんばかりに枠がスカスカ

というパターンです。送った側は「親切な設計」のつもりかもしれませんが、受け取る側は、

「この人、あまり仕事がないのかな」

と見てしまうことが多いです。

それよりも、先ほどのように「相手のことをきちんと見ている」と伝わる具体的な提案を持ってきてくれた方が、よほど信頼につながります。

私自身の駆け出し時代:一番仕事が取れたのは「プレゼンの場」

ここからは、少し私自身の話も交えます。

私も最初はフリーランスとして独立しました。その中で、

  • 飛び込み営業
  • 提案営業
  • インバウンド(問い合わせをもらう形)の営業

  • Published on 1 year, 3 months ago






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