Episode 530
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回のテーマは「競合調査ツールの数字、信じて大丈夫ですか? データに振り回されないWeb解析」です。
競合調査ツールやSEOツールが出してくれる数字を、どこまで信じていいのか。
そして、そもそもどう付き合えばよいのかという話をしていきます。
競合調査ツールの全体的な使い方については、過去の第515回「ウェブサイト競合調査ツールの現状と、それを踏まえた上での使い方とは」でまとめていますので、全体像を整理したい場合はそちらも参考にしてください。今回は、その上に少し細かい話を乗せるような位置づけです。
競合調査ツールは、とても魅力的に見えます。
たとえば次のようなことが「分かりそう」に見えるからです。
ビジネスの視点で言えば、競合の動きが見えたら助かりますし、知りたくなりますよね。
そういったニーズに応える形で、コンピューターが自動で推定してくれる分析機能が、SEOツールや競合調査ツールとしてたくさん出てきています。
ただ、そのときに「出ている数字の根拠」を押さえていないと、現実とズレた判断をしやすくなります。
たとえば、あるツールで「競合のアクセスが急成長している」と見えていたとしても、実際には大して変わっていない、ということがあります。
数字の作り方を知らないまま眺めていると、競合の「実体」が見えた気になりながら、じつは違う景色を見てしまう危険があるのです。
先にざっくりとした結論を言うと、競合調査ツールについては、次のような切り分けで考えると扱いやすくなります。
つまり「数字はほどほど、数字以外は普通に参考にする」くらいの距離感が、現実的だと考えています。
SNSなどを見ていると、よくこんな話が出てきます。
こういう話をしている人は、おそらくですが、ツールのヘルプをほとんど読んでいないのではないかなと感じています。
ヘルプや用語集には、本来、その数字がどういう意味で、どのくらい自信を持って出しているのかが書かれているからです。
たとえば、最近よく名前が出るのがAhrefs(エイチレフス)です。
日本の代理店ができて、日本語のブログやヘルプも増えています。以前はインターフェースもヘルプも英語だけでしたが、今は日本語で読める情報もかなりあります。
Semrushもそうですが、日本のSEO会社さんが代理店になっていて、日本語でのヘルプや解説が用意されています。
ツールを使うときは、まずこうしたヘルプや用語集を押さえるようにすると、数字に振り回されにくくなります。
少し具体的に、Ahrefsを例にお話しします。
まず名前ですが、私も最初は読み方がよく分からず「アフレフス」などと読んでいた時期がありました。正しくは「エイチレフス」。HTMLにリンクを書くときの の「href」から来ている名前ですね。
Ahrefsは決して安いツールではありませんが、世界的に見ると「信頼性が高いツール」として支持されています。
そのAhrefsには、UR・DR・ARといった指標があります。
DRについて、Ahrefsの説明では「そのサイトのバックリンクプロファイル(どんなサイトからリンクされているか)の全体的な強さを表す」と明確に書かれています。
リンク元のサイトの質や量、サイズなどを見てスコア化している、ということですね。
つまりDRは「外部からのリンク」に関する評価であって、サイト内のコンテンツや、ユーザーの行動といった内部要因は含んでいません。
内部要因を評価に入れていないからダメ、という話ではなく、指標の役割が最初からそういう設計になっている、ということです。
ここで大事なのは、DRで比較したときに「自社はDRが低いから負けている」「DRが高いから勝っている」と単純に考えないことです。
DRは外部リンクまわりの指標なので、それだけで「検索結果で勝てるかどうか」までは判断できません。
Googleはコンテンツやユーザー行動など、いろいろなシグナルを総合して評価しています。
それを外部のツールが、限られたクローリングデータと匿名データだけで再現しようとすると、どうしても一部の要素に絞った指標になります。AhrefsのURやDR、AR、Mozの指標などは、そういった「一部の要素を切り出したスコア」として見ておいたほうが、使いやすいと感じています。
ヘルプを読むと、ツール側も「これはあくまでバックリンクに関する指標です」というニュアンスをわりとはっきり書いています。
ですので、DRやURなどのランキングは、「目安としてほどほどに見る」くらいがちょうどよいのではないでしょうか。
競合調査ツールには、推定のオーガニックトラフィックの数字が出るものが多いですよね。
これも、いろいろな場面で「競合のアクセス推移」として使われているのを見ます。
ただ、この数字もあくまで推定値です。
ざっくり言うと、ツール側は次のような情報を組み合わせて数字を出しています。
このあたりはAhrefsの用語集やブログにも書か
Published on 1 year, 2 months ago
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