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第530回:競合調査ツールの数字、信じて大丈夫ですか?データに振り回されないWeb解析

第530回:競合調査ツールの数字、信じて大丈夫ですか?データに振り回されないWeb解析


Episode 530


ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。

サマリー

  • 競合調査ツールの数字は、あくまで推定値であり、「実測値」ではない前提で見る
  • DR・UR・ARなどのスコアはリンク周りの一部の情報に基づく指標であり、それだけで勝ち負けを判断しない
  • オーガニックトラフィックやCPCの推定値は、特にニッチな業界ほど誤差が大きくなるので、提案の根拠としては使いどころを選ぶ
  • 数字としてしっかり扱えるのは、自社が直接取得している一次データ(Search Consoleやアクセス解析、広告の管理画面など)である
  • ツールは、流入ページやキーワード、広告の有無といった「構造的な情報」や、自社サイトの内部監査に活用する
  • まずは普通の商売の原点に戻り、実際にサイトを見たり、お客さんに話を聞いたりすることを大事にする
  • 外部の会社に任せきりにするのではなく、自社でも数字の意味を理解して会話できる状態を目指す
  • 高額なツールが本当に必要かどうかは、Googleの純正ツールをやり切ったうえで改めて考えても遅くない

今回お話しするテーマについて

今回のテーマは「競合調査ツールの数字、信じて大丈夫ですか? データに振り回されないWeb解析」です。
競合調査ツールやSEOツールが出してくれる数字を、どこまで信じていいのか。
そして、そもそもどう付き合えばよいのかという話をしていきます。

競合調査ツールの全体的な使い方については、過去の第515回「ウェブサイト競合調査ツールの現状と、それを踏まえた上での使い方とは」でまとめていますので、全体像を整理したい場合はそちらも参考にしてください。今回は、その上に少し細かい話を乗せるような位置づけです。

競合調査ツールが魅力的に見える理由と、その落とし穴

なぜここまで期待してしまうのか

競合調査ツールは、とても魅力的に見えます。
たとえば次のようなことが「分かりそう」に見えるからです。

  • 競合がどんなキーワードで集客していそうか
  • どのページが人気で、アクセスを集めていそうか
  • 今、どんなことに力を入れているのか

ビジネスの視点で言えば、競合の動きが見えたら助かりますし、知りたくなりますよね。
そういったニーズに応える形で、コンピューターが自動で推定してくれる分析機能が、SEOツールや競合調査ツールとしてたくさん出てきています。

「数字の根拠」を知らないと、実態とズレた世界を見る

ただ、そのときに「出ている数字の根拠」を押さえていないと、現実とズレた判断をしやすくなります。
たとえば、あるツールで「競合のアクセスが急成長している」と見えていたとしても、実際には大して変わっていない、ということがあります。

数字の作り方を知らないまま眺めていると、競合の「実体」が見えた気になりながら、じつは違う景色を見てしまう危険があるのです。

結論のざっくりしたイメージ

先にざっくりとした結論を言うと、競合調査ツールについては、次のような切り分けで考えると扱いやすくなります。

  • 数字系(スコア・トラフィック推定・CPCなど)は、検証した上で「ほどほどに」信用する
  • ページのURL・流入キーワード・広告の有無など、数字以外の情報は、そのまま参考にしてよい場面も多い

つまり「数字はほどほど、数字以外は普通に参考にする」くらいの距離感が、現実的だと考えています。

まずはヘルプを見る習慣を持つ

SNSで語られがちな「CPCが高いキーワードを狙え」論への違和感

SNSなどを見ていると、よくこんな話が出てきます。

  • 「CPC(クリック単価)が高いキーワードは購買意欲が高い」
  • 「だから、そういうキーワードを狙えば売上につながるアクセスが取れる」

こういう話をしている人は、おそらくですが、ツールのヘルプをほとんど読んでいないのではないかなと感じています。
ヘルプや用語集には、本来、その数字がどういう意味で、どのくらい自信を持って出しているのかが書かれているからです。

AhrefsやSemrushなど、海外ツールの情報源

たとえば、最近よく名前が出るのがAhrefs(エイチレフス)です。
日本の代理店ができて、日本語のブログやヘルプも増えています。以前はインターフェースもヘルプも英語だけでしたが、今は日本語で読める情報もかなりあります。

Semrushもそうですが、日本のSEO会社さんが代理店になっていて、日本語でのヘルプや解説が用意されています。
ツールを使うときは、まずこうしたヘルプや用語集を押さえるようにすると、数字に振り回されにくくなります。

AhrefsのUR・DR・ARなどの指標は何を見ているのか

「ahrefs」という名前と、UR・DR・ARのざっくりした意味

少し具体的に、Ahrefsを例にお話しします。
まず名前ですが、私も最初は読み方がよく分からず「アフレフス」などと読んでいた時期がありました。正しくは「エイチレフス」。HTMLにリンクを書くときの の「href」から来ている名前ですね。

Ahrefsは決して安いツールではありませんが、世界的に見ると「信頼性が高いツール」として支持されています。
そのAhrefsには、UR・DR・ARといった指標があります。

  • UR(URL Rating):ページ単位の評価
  • DR(Domain Rating):ドメイン全体の評価
  • AR(Ahrefs Rank):世界中のサイトの中での順位のようなもの

DRが示しているのは「バックリンクの強さ」だけ

DRについて、Ahrefsの説明では「そのサイトのバックリンクプロファイル(どんなサイトからリンクされているか)の全体的な強さを表す」と明確に書かれています。
リンク元のサイトの質や量、サイズなどを見てスコア化している、ということですね。

つまりDRは「外部からのリンク」に関する評価であって、サイト内のコンテンツや、ユーザーの行動といった内部要因は含んでいません。
内部要因を評価に入れていないからダメ、という話ではなく、指標の役割が最初からそういう設計になっている、ということです。

DRが低い=勝てない、という話にはならない

ここで大事なのは、DRで比較したときに「自社はDRが低いから負けている」「DRが高いから勝っている」と単純に考えないことです。
DRは外部リンクまわりの指標なので、それだけで「検索結果で勝てるかどうか」までは判断できません。

Googleはコンテンツやユーザー行動など、いろいろなシグナルを総合して評価しています。
それを外部のツールが、限られたクローリングデータと匿名データだけで再現しようとすると、どうしても一部の要素に絞った指標になります。AhrefsのURやDR、AR、Mozの指標などは、そういった「一部の要素を切り出したスコア」として見ておいたほうが、使いやすいと感じています。

ヘルプを読むと、ツール側も「これはあくまでバックリンクに関する指標です」というニュアンスをわりとはっきり書いています。
ですので、DRやURなどのランキングは、「目安としてほどほどに見る」くらいがちょうどよいのではないでしょうか。

オーガニックトラフィックの推定値は、あくまで「推定」

オーガニックトラフィック推定値はどう作られているか

競合調査ツールには、推定のオーガニックトラフィックの数字が出るものが多いですよね。
これも、いろいろな場面で「競合のアクセス推移」として使われているのを見ます。

ただ、この数字もあくまで推定値です。
ざっくり言うと、ツール側は次のような情報を組み合わせて数字を出しています。

  • ツールが把握している検索クエリの一覧
  • それぞれのクエリに対して、どのサイトが何位にいるか
  • 月間検索数のデータ
  • 順位ごとの推定クリック率

このあたりはAhrefsの用語集やブログにも書か


Published on 1 year, 2 months ago






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