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第533回:AI検索の普及で自社サイトは見つけてもらえるのか?これからWeb戦略で考えるべきこと

第533回:AI検索の普及で自社サイトは見つけてもらえるのか?これからWeb戦略で考えるべきこと


Episode 533


AI検索が当たり前になりつつある今、何が起きているのか

今日は、AI検索が広がっていく中で「自社サイトはこれからも見つけてもらえるのか」という不安と、それに対して今からどんなWeb戦略を考えておくとよさそうか、少し腰を据えてお話ししたいと思います。

まず、背景として押さえておきたいのが「主要な検索エンジンのほとんどが、AIが生成した回答を検索結果の目立つ位置に出すようになってきている」という点です。

Yahoo!検索の「〇〇とは」AI回答

日本だと特に影響が大きそうなのが、Yahoo!検索です。Yahoo!は「〇〇とは」という、いわゆる用語の意味を調べる検索に対して、AIがまとめた回答を一番上に表示する仕様を入れました。

もともとこれはスマートフォン版から始まりましたが、2024年10月にはスマートフォン版「Yahoo!検索」で生成AIによる回答表示機能が提供開始され、その後2025年8月5日からはPC版でも同じ機能が使えるようになっています。

「Z世代とは」といったキーワードで検索すると、上部にAIの回答がまとまって表示され、その中に小さく引用元へのリンクが並ぶ、という形ですね。見た目としては、GoogleのAI概要やBingのAI回答と似ています。

Google検索のAI機能の変遷と現在

Googleも、以前から「Search Generative Experience(SGE)」という名前で、生成AIによる回答を検索結果の上部に表示する実験を続けてきました。日本では2023年8月から、Search Labsに参加した一部ユーザーを対象に日本語版の試験運用が始まっています。

この収録をしていた当時は、「設定をオンにした人だけが使える試験機能」という位置づけでしたが、その後大きな変化がありました。Googleは2025年9月9日に、AI検索の新しい形である「AIモード」を日本語でも提供開始することを発表し、順次すべてのユーザーに展開しています。

そして2025年11月13日現在、日本ではGoogle検索のAIモードが全ユーザーで利用できる状態になっています。つまり、多くの人が意識せずとも「AIがまとめた答え」を検索の入り口で見るようになってきた、という状況です。

主要な検索エンジンがそろってAI回答を出す世界

こうした動きをまとめると、日本でよく使われている検索エンジン上位3つ、つまり

  • Google検索(AIモード・AI概要など)
  • Yahoo!検索(生成AIによる回答表示機能)
  • Bing(AIチャット・Copilot系の回答)

のいずれも、条件が合えばAIが生成した回答を検索結果の目立つ位置に出すようになってきている、ということになります。

ここまで聞くと「インフォメーション系のキーワード(〇〇とは)で集客するのが難しくなりそうだな」という話に思えるかもしれませんが、今回お話ししたいのはそれ以上の部分です。

AI検索が「次の質問の選択肢」を出すようになった意味

個人的に一番インパクトが大きいと感じているのは、「AIが回答したあと、次に聞きそうな質問を候補として並べてくる」というインターフェースです。

Yahoo!検索の「AIに追加の質問をする」ボタン

先ほどのYahoo!検索で「Z世代とは」と調べると、AIの回答が表示された一番下に「AIに追加の質問をする」という青いボタンがあります。これを押すと、自由入力で質問できる画面に進みます。

そのすぐ上には、横にスライドできるカード形式で、

  • 「Z世代はどのような価値観を持っているのか…」
  • 「Z世代はどのようなテクノロジーに親しみがありますか」

といった「次に聞きそうな質問の候補」が並びます。これをタップすれば、そのまま続きの会話が始まるわけです。

ここでポイントなのは、「ユーザーが自分で次の質問を考えて入力する」のではなく、「AIが提案した候補の中から選ぶ」という形が用意されていることです。

Perplexity(パープレキシティ)も同じ流れ

同じような流れは、Perplexity(パープレキシティ)という検索エンジンでも強く出ています。Perplexityは「AI answer engine(回答エンジン)」を名乗っているサービスで、自然文で質問すると複数の情報源をまとめて答えを返してくれるタイプの検索ツールです。

特に「Pro Search(プロサーチ)」という高度検索機能を使うと、質問に対して

  • いくつかの観点ごとに整理された回答
  • 参照した情報源へのリンク
  • そして「次にこんなことも調べますか?」というリンク

まで自動で出してくれます。

例えば「サーチエンジンランドを運営している会社はどこか」と聞くと、「サードドアメディアが運営していて、SEMツールを提供するSEMrushに買収された」というところまで、かなり詳しく返してくれます。

そのうえで、

  • 「サードドアメディアについて詳しく調べますか」
  • 「サードドアメディアが運営する他のサービスを調べますか」

といった「次の一手」も提案してくる。これをクリックしていくだけで、どんどん深掘りできる、という体験になっています。

自由入力から「選択肢ベース」へのシフト

ChatGPTのように自由入力で質問を投げるタイプのAIもありますが、検索エンジン側は「次の質問候補」をボタンで提示して、ユーザーに選んでもらう方向へかなり舵を切っています。

理由はシンプルで、

  • 候補から選ぶ方が、ユーザーにとって楽
  • 多くの人が「確かにそれも知りたい」と思う質問が出てくる

からです。何度か使えば「この候補から選んでいけば、だいたい欲しい情報にはたどり着ける」と感じやすいはずです。

その結果として何が起きるかというと、世の中で発生する「質問のパターン」が、だんだんと絞り込まれていく、ということです。

平均的な質問・平均的な解決策に収束していく検索体験

AIが「次の質問候補」を提案する形が一般的になると、ユーザーの質問は「候補に出てきたもの」の中で完結しやすくなります。自由入力ならバラバラだった疑問が、ある程度決まったパターンの中に収まっていくイメージです。

「中央値」の質問に合わせた世界

統計の言葉でいうと、「中央値」に近いところに、質問のパターンが寄っていく可能性があります。多くの人が

  • このテーマであれば、こういうことを心配する
  • この商品を探すときは、こういう観点で比べる

という「多数派」のパターンに沿って、AIが質問候補を出していくからです。

しかも、検索エンジン側は個々人の細かい情報(どんなサイトを見ていて、どんな体質で、どんな属性かなど)を、プライバシーの観点から自由に使えるわけではありません。ですから、どうしても

  • 「できるだけ多くの人が外れない答え」
  • 「大きく間違ってはいないが、平均的な解決策」

に寄せざるを得ません。

虫除けスプレーと「鬼ヤンマのおもちゃ」のような話

例えば、「蚊に刺されすぎて困っている」という人がいたとします。一般的な検索であれば、

  • 虫除けスプレー
  • 蚊取り線香
  • 体質改善
  • 網戸や窓の対策

といったメジャーな解決策が並ぶでしょう。

一方で、「実はうちの会社のこの商品、全然違う用途だけど、蚊よけにも使えるんです」というケースもあります。極端な例ですが、「鬼ヤンマの形をしたおもちゃを吊るしておくだけで蚊が寄りにくくなる」といった、ちょっと変わった商品があったとします。

これまでは、きちんとコンテンツを作り、検索エンジンに評価されれば、

  • 「蚊に刺されない方法」
  • 「蚊に刺されやすい体質 対策」

のような検索結果の中に、そうしたユニークな商品が紛れ込む余地がありました。

ところが、AI検索が「多くの人が選びそうな解決策」だけを候補として出し、その中でさらにAIが回答をまとめてしまうようになると、

  • 虫除けスプレー
  • 皮膚科や内科での相談
  • 生活習慣の見直し

といった「王道の選択肢」以外は、極端に見つかりにくくな


Published on 1 year, 2 months ago






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