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第535回:継続的な成長を促す、中小企業のためのWebマーケティング人材育成、次の一手
Description
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は「社内にいる既存の従業員のデジタルスキル・Webマーケティングスキルをどうやって上げていくか」というテーマでお話しします。特に、
- 研修をしても、しばらくするとほとんど忘れられてしまう
- 外部講師を頻繁に呼べるほど、予算や時間に余裕がない
- とはいえ、このままではデジタルに弱い会社のままではないかと不安
そんな状況で悩んでいる方に向けて、「日常の中で自然にスキルアップしていくための考え方」と「現実的な取り組み方」を、私自身の現場での経験も交えながらお伝えしていきます。
既存社員のデジタルスキルアップ、「機会がない」問題
社内のデジタルスキルを上げたいと思ったとき、多くの会社が最初に考えるのは次の二つです。
- 外部セミナーや講座に社員を参加させる
- 自社に講師を呼んで、社内研修を行う
もちろん、これ自体は悪いことではありません。ただ、よく聞く悩みがあります。
- せっかく研修をしても、1か月後には内容をほとんど覚えていない
- 予算的に、毎月のように研修を組めるわけではない
- 教材を常に用意しておく余裕もない
つまり「スキルアップの機会を用意しているつもりなのに、それが身についていないように感じる」という状況です。
ここで一度整理しておきたいのは、単発の研修やセミナーだけで、人が大きく変わることはあまり多くないという前提です。これは講師の腕の問題というより、仕組みの問題に近いと考えています。
単発の研修や外部セミナーに過度な期待をしない
外部セミナーの会場を思い浮かべてみてください。きれいな会場に集まって、同じテーマに関心がある人が周りにたくさんいて、成功事例の話も聞ける。非日常の空間として、刺激のある場になりやすいですよね。
その場では「なるほど、自社でもやってみたい」と思うのですが、会社に戻る途中でふと冷静になります。
- うちの会社の状況で、これは本当にできるのだろうか
- まず何から手をつければいいのか
この段階で、多くの方の行動は次の二つに分かれます。
- セミナー主催企業や登壇者の会社にそのまま相談し、支援を依頼する
- 社内向けのレポートだけ書いて、「いつかタイミングがきたらやろう」と後回しにする
結果として、セミナーをきっかけに「継続的な行動」が生まれないまま時間が過ぎていくことが多いのです。これは社内研修でも同じで、外部の人が来ることでその場の空気は変わりますが、それだけで日常の行動が変わるかというと、難しい面があります。
私が研修で必ず「フォローアップ期間」をつける理由
私も企業研修を行いますが、必ずセットにしているのが研修後のフォローアップ期間です。たとえば、4日間の研修を行ったら、その後1か月は
- Microsoft Teams(チームズ)
- Slack(スラック)
- Chatwork(チャットワーク)
など、その会社で使っているグループウェアやチャットツール上で質問を受け付けるようにしています。
実際にやってみると、フォローアップ期間に飛んでくる質問は、研修のスライドに直接は出てこないようなものも多いです。むしろ、そうした具体的な質問へのやりとりのほうが、最終的には役に立ったと言われることが多いくらいです。
この経験からも、「1回の研修で人を変える」という期待をいったん手放すことが重要だと考えています。では、代わりにどこに期待すべきか。それが次のテーマです。
中小企業でも続けられる「日常ベース」の学び方
「毎週のように研修をする」「高額な講師を定期的に呼ぶ」というのは、正直なところ、多くの中小企業では現実的ではありません。そこで視点を変えて、
日常の中にある「当たり前の行動」そのものを、学びの場として活用する
という考え方で設計してみてはどうでしょうか。
たとえば、皆さんは普段、自分が何かを買うときやサービスを選ぶとき、どれくらいの頻度でウェブ上の情報を見ているでしょうか。まったく見ないという人は、かなり少ないのではないかと思います。
その「自分がお客様になっている時間」は、自社の顧客の気持ちを理解するうえで、とても大きなヒントの宝庫です。売り手としての時間より、お客様として情報を見ている時間のほうがずっと長い、という方も多いはずです。
であれば、そこから積極的に学んでしまおうという発想です。
自分の購買行動を観察する
おすすめしているのは、何かをウェブで探したり比較したりするときに、次のようなことを意識してメモしてみることです。
- 自分はなぜその商品・サービスが気になったのか
- 最終的に選ばなかったサイト・会社は、なぜ避けたのか
特に後者の「選ばなかった理由」が重要です。選んだ理由は、意外と感覚的だったり、うまく言葉にできなかったりすることが多いのですが、
「やめた理由」「避けた理由」は、比較的論理的に説明できることが多いのです。
- 価格の書き方が分かりにくくて不安を感じた
- 会社情報がほとんど載っておらず、信頼しきれなかった
- 問い合わせフォームが面倒そうだったのでやめた
こういった「マイナスの理由」は、人間の性質として見つけやすい面があります。そこをあえて意識して言葉にしていくと、お客様がどこで離脱するのか、どこに不安を感じるのかが、自分の体験を通じて見えてきます。
「選ばなかった理由」を言語化してためていく
最初は少し手間に感じられるかもしれませんが、
- 「どのサイトを見て」
- 「どこが気になって」
- 「最終的に、どんな理由でやめたのか・選んだのか」
といった情報を、簡単なメモや社内の共有ノートにためていくだけでも、かなり視点が変わってきます。
これを続けることで、
- 「こういう情報が書いてあると読む気が失せる」
- 「こういう情報があると、次のページも読みたくなる」
といった「読んでいる側の感覚」が、自分の中で整理されていきます。すると、いざ自社のウェブサイトや広告を考えるときに、お客様目線でチェックする力が自然と身についてきます。
アウトプットして初めて身につく
とはいえ、頭の中で思うだけだと、どうしてもあいまいなままになりがちです。そこで大切になってくるのが、
- 簡単なレポートにまとめてもらう
- 月に一度の勉強会のような場で共有してもらう
といったアウトプットの場です。
知識や気づきを
- 言葉にする(言語化する)
- 筋道を立てて説明する(論理化する)
というプロセスを通さないと、頭の中でうまく整理されません。結果として、
- 研修で聞いたこと
- 本やセミナーで学んだこと
が「なんとなく分かった気がする」状態のまま、ゆっくり記憶から薄れていきます。
よく「研修をしても、すぐ忘れてしまう」と言われますが、正確には
そもそも自分の中で整理できるところまで吸収しきれていない
ことが多いのです。特に、成功事例だけを紹介するような研修は要注意です。
成功事例紹介の「語られない部分」に注意する
成功事例の話は、限られた時間の中で要点だけが紹介されることが多く、どうしても省略されている部分がたくさんあります。
たとえば、1時間の成功事例セミナーがあるとします。その裏側には、
- 前提となっている社内の体制や文化
- 実はうまくいかなかった試行錯誤の過程
- 関係部