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第536回:Webの最新情報収集術…How(手法)の前に考えるべきWhy(なぜ)とWhat(何を)
Description
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
このページでは、ポッドキャスト「会社と経営者を強くする 実践ウェブ活用ポッドキャスト」でお話しした内容をもとに、「Webの最新情報収集術 ― How(手法)の前に考えるべきWhy(なぜ)とWhat(何を)」というテーマでお伝えします。
「最新トレンドについていけていない気がする」「新しいツールや手法をどこまで追えばいいのか分からない」「上から“最近のデジタルはどうなっている”と聞かれて困る」といったモヤモヤがある方に、少し気持ちが楽になりつつ、やるべきことが見えてくる内容になればと思います。
結論・まとめ
- 「最新トレンドについていけていない」という悩みには、周りから言われるケースと自分で焦るケースがある。
- ただし、どちらも根っこは「新しいものに対応できていない不安」であり、落ち着いて分解すれば整理できる。
- ツールや手法(How)は、2024年秋時点ではAIを除けば「まったく新しいもの」が次々出ている状況ではなく、運用スキルと考える力の方が重要になってきている。
- 本当に押さえるべきは、Why(なぜ)とWhat(何を)。Howは外部パートナーと一緒に考えれば良い。
- トレンドをつかむ一番の近道は、ネット上の一般論よりも、自社のお客さんの変化を観察し、社内外の信頼できる人たちと情報交換すること。
- コンサルタントや制作会社には永続的に依存するのではなく、「いずれ自社で回せる状態」に向けたパートナーとして関わってもらうのがおすすめ。
- AIツールだけは、業務効率化という意味で、代表的なものを実際に触ってみる価値が高い。
「最新ツールを全部追う」のではなく、
- 自社のお客さんの変化を書き出してみる
- 社内の営業やカスタマーサポートと一度、時間を取って話をしてみる
- 信頼できそうな専門家候補を探し、「うちの状況だとどう考えるべきか」とラフに相談してみる
- AIツールを1つ選び、1ヶ月だけでも本気で使ってみる
といったところから、ぜひ始めてみてください。
「最新トレンドについていけていない」2つのよくあるパターン
まず、現場でよく聞く「最新情報に追いつけていない」という悩みには、大きく分けて2つの出どころがあります。
パターン1:周り(特に上の立場)から言われて焦るケース
1つ目は、月次報告や定例会議などで、上の立場の人からこう聞かれるパターンです。
- 「最近は◯◯が効果的って聞くけど、うちはどうしているの?」
- 「今、世の中では××が流行っているらしいけど、うちでは取り入れているの?」
ここで「まだやれていなくて……」と答えると、
- 「うちは時代遅れなのでは」
- 「もっと新しいやり方を取り入れないといけないのでは」
といった空気になり、現場としては落ち着かない気持ちになることが多いと思います。
経営者側から見ると、これはある意味仕方のないところです。会社として利益を出し続け、従業員やそのご家族の生活を守るためには、「世の中の変化に置いていかれていないか」「もっと良いやり方があるのではないか」が常に頭から離れません。私自身も経営をしているので、その不安はよく分かります。
一方で、現場からすると「実情を分かっていないのに、簡単に言わないでほしい」と感じる場面もあるでしょう。本来であれば、そこで冷静にこう返せるのが理想です。
- 「その方法はうちの顧客層や商材だと、この理由から今は優先度が高くありません」
- 「必要性は感じていますが、先に取り組むべき施策があるので、この順番で進めています」
しかし、そのためには「なぜやらないのか」「今、何を優先しているのか」が自分たちの中で整理できている必要があります。ここが整理されていないと、「とにかく新しいことをやっていない自分たちは良くないのでは」という漠然とした不安だけが残ってしまいます。
パターン2:自分で情報収集していて「全部やれていない」と感じるケース
2つ目は、日頃からWebの情報や雑誌、セミナー、ソーシャルメディアなどを追いかけている方に多いパターンです。
- 「今度は◯◯マーケティングか、〇〇広告か……新しい言葉が次々出てくる」
- 「どれもやった方が良さそうに見えるけれど、自社では何一つ手をつけられていない」
- 「やらなきゃと思うけれど、何から始めれば良いのか分からない」
頭の中では「変化に追いつかないといけない」と分かっていても、日常の業務は目の前でパンパンに詰まっている。新しい取り組みの一歩目を踏み出せず、自己評価が下がってしまう。このような状況です。
この2つのパターンは、出どころこそ違いますが、根っこは共通しています。どちらも「新しいものにちゃんと対応できていないのではないか」という不安から来ています。
ただし、ここから先の「考え方」と「対処の仕方」は、少し分けて考えた方が整理しやすくなります。
本当に「新しい手法やツール」はどこまで追う必要があるのか
ここで、20年以上この業界にいる立場からの実感をお伝えします。特に2024年秋時点で感じているのは、
「AI(人工知能)を除くと、『まったく新しい概念の手法やツール』は、以前ほど次々と出てきているわけではない」
ということです。
10〜15年前ぐらいまでは、
- 新しい広告手法
- 新しいアクセス解析ツール
- 新しい検索エンジン対策(SEO:Search Engine Optimization)
といったものが、かなり勢いよく登場している感覚がありました。
ところが最近は、「今まで存在していた考え方を、より使いやすくしたツール」や「既存の仕組みを少し拡張したサービス」が中心で、根本からゲームチェンジするような新しいツールは、それほど頻繁には出ていません。
むしろ、ツール側には別の大きな流れがあります。それはプライバシー保護の強化です。
- クッキー(Cookie)への同意が必須になってきた
- ブラウザやOSがトラッキング(追跡)の制限を強めている
こうした流れの中で、従来のように細かい個人単位のデータを集めることは難しくなっています。少なくとも現状では、「昔のように何でも細かく追える状態」に戻るというより、プライバシーに配慮した別の仕組みに置き換わっていく流れだと考えた方が自然です。
このため、ツールが自動で取得できるデータの粒度(どこまで細かく分かるか)は下がりつつあり、「ツールが教えてくれる答えを読む」だけでなく、自分たちで考えて解釈する力がより重要になっています。
つまり、
- 新しいツールを入れれば、魔法のように成果が出る
- 「最新ツールを使っている会社」こそが強い
というイメージは、かなり薄くなってきていると考えても良いと思います。
もちろん、新しいツールがまったく意味がないわけではありません。ただ、「ツールを追いかけ続けること」が目的になってしまうと、本来やるべきことから離れてしまうのが今の時代です。
「◯◯マーケティングが今熱い」という記事との付き合い方
もう1つ、気をつけたいのが「◯◯マーケティング」「△△戦略」など、名前のついた新しい手法がメディアで取り上げられるときの話です。
実務の現場から見ると、こうしたものの多くは戦略PR(企業やサービスの認知・好意形成を目的とした計画的な広報活動)として世の中に出てきています。
よくあるパターンとしては、
- 「今、◯◯マーケティングが熱い」
- 「そのやり方を効率的に実現するには、このツールが便利」
- 「そのツールを提供しているのは、この会社。その担当