Episode 536
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
このページでは、ポッドキャスト「会社と経営者を強くする 実践ウェブ活用ポッドキャスト」でお話しした内容をもとに、「Webの最新情報収集術 ― How(手法)の前に考えるべきWhy(なぜ)とWhat(何を)」というテーマでお伝えします。
「最新トレンドについていけていない気がする」「新しいツールや手法をどこまで追えばいいのか分からない」「上から“最近のデジタルはどうなっている”と聞かれて困る」といったモヤモヤがある方に、少し気持ちが楽になりつつ、やるべきことが見えてくる内容になればと思います。
「最新ツールを全部追う」のではなく、
といったところから、ぜひ始めてみてください。
まず、現場でよく聞く「最新情報に追いつけていない」という悩みには、大きく分けて2つの出どころがあります。
1つ目は、月次報告や定例会議などで、上の立場の人からこう聞かれるパターンです。
ここで「まだやれていなくて……」と答えると、
といった空気になり、現場としては落ち着かない気持ちになることが多いと思います。
経営者側から見ると、これはある意味仕方のないところです。会社として利益を出し続け、従業員やそのご家族の生活を守るためには、「世の中の変化に置いていかれていないか」「もっと良いやり方があるのではないか」が常に頭から離れません。私自身も経営をしているので、その不安はよく分かります。
一方で、現場からすると「実情を分かっていないのに、簡単に言わないでほしい」と感じる場面もあるでしょう。本来であれば、そこで冷静にこう返せるのが理想です。
しかし、そのためには「なぜやらないのか」「今、何を優先しているのか」が自分たちの中で整理できている必要があります。ここが整理されていないと、「とにかく新しいことをやっていない自分たちは良くないのでは」という漠然とした不安だけが残ってしまいます。
2つ目は、日頃からWebの情報や雑誌、セミナー、ソーシャルメディアなどを追いかけている方に多いパターンです。
頭の中では「変化に追いつかないといけない」と分かっていても、日常の業務は目の前でパンパンに詰まっている。新しい取り組みの一歩目を踏み出せず、自己評価が下がってしまう。このような状況です。
この2つのパターンは、出どころこそ違いますが、根っこは共通しています。どちらも「新しいものにちゃんと対応できていないのではないか」という不安から来ています。
ただし、ここから先の「考え方」と「対処の仕方」は、少し分けて考えた方が整理しやすくなります。
ここで、20年以上この業界にいる立場からの実感をお伝えします。特に2024年秋時点で感じているのは、
「AI(人工知能)を除くと、『まったく新しい概念の手法やツール』は、以前ほど次々と出てきているわけではない」
ということです。
10〜15年前ぐらいまでは、
といったものが、かなり勢いよく登場している感覚がありました。
ところが最近は、「今まで存在していた考え方を、より使いやすくしたツール」や「既存の仕組みを少し拡張したサービス」が中心で、根本からゲームチェンジするような新しいツールは、それほど頻繁には出ていません。
むしろ、ツール側には別の大きな流れがあります。それはプライバシー保護の強化です。
こうした流れの中で、従来のように細かい個人単位のデータを集めることは難しくなっています。少なくとも現状では、「昔のように何でも細かく追える状態」に戻るというより、プライバシーに配慮した別の仕組みに置き換わっていく流れだと考えた方が自然です。
このため、ツールが自動で取得できるデータの粒度(どこまで細かく分かるか)は下がりつつあり、「ツールが教えてくれる答えを読む」だけでなく、自分たちで考えて解釈する力がより重要になっています。
つまり、
というイメージは、かなり薄くなってきていると考えても良いと思います。
もちろん、新しいツールがまったく意味がないわけではありません。ただ、「ツールを追いかけ続けること」が目的になってしまうと、本来やるべきことから離れてしまうのが今の時代です。
もう1つ、気をつけたいのが「◯◯マーケティング」「△△戦略」など、名前のついた新しい手法がメディアで取り上げられるときの話です。
実務の現場から見ると、こうしたものの多くは戦略PR(企業やサービスの認知・好意形成を目的とした計画的な広報活動)として世の中に出てきています。
よくあるパターンとしては、
Published on 1 year, 1 month ago
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