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第538回:Webマーケティング予算の壁…専門家が語る、中小企業のための現実的な乗り越え方
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今回のテーマ
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、よくいただくご相談の一つである「Webマーケティングの予算がなかなか取れない」というテーマについて、現場での経験を交えながらお話しします。
「どれくらいが適正予算なのか」「広告費はどのくらい回すべきか」といった質問も多いのですが、それ以前の段階として、そもそも社内でWebに使える予算を確保できないという悩みがとても多いと感じています。
この記事では、予算が確保しづらい理由を整理しつつ、「現実的にどう動けばいいのか」をできるだけ具体的にお伝えします。
まとめ
- 予算を無理やり取っても、続かなければ意味がない
- 「予算がない」は、本当に捻出できない場合と、Webに回す雰囲気がない場合の二つがある
- どちらの場合も、最初の目的は「社内にWebの価値を見せること」
- 最初は自分中心で動く覚悟を持ち、「見える結果」を意識して積み上げる
- 短期の劇的な成果より、半年〜1年かけて変化を積み重ねる方が現実的
- 最初から大きな予算を取りすぎると、期待値が上がり過ぎて一度の失敗で終わりやすい
- ミニマムスタートを支えてくれる「伴走型」のパートナーを選ぶと進めやすい
- 補助金は頼り切るものではなく、条件が合えば活用する「追加の助け」として考える
- 「お得情報」や営業電話には慎重に向き合い、自分から探して依頼する流れを基本にする
いま予算の確保が難しい状況にあっても、「すぐに大きなことをやらなければいけない」というわけではありません。むしろ、「どうやって社内の目をWebに向けていくか」「どうやって少しずつ続けやすくするか」という視点で考えた方が、結果として予算も取りやすくなります。
予算を無理に取れば良いわけではない
最初にお伝えしたいのは、「予算を無理に取ってくることが、いつも正解とは限らない」という点です。
Webの施策は、短期決戦ではなく、続けることに意味があります。途中で息切れして止まってしまうと、それまでの投資がほとんど生きませんし、社内の空気も「やっぱりWebは合わない」となりやすいです。
一度大きく失敗してしまうと、次のチャンスがほとんど回ってこない、というケースもよく見てきました。特に、今からWebに力を入れようとする会社は、どうしても「後発」になります。その会社がここまでWebを本格的にやってこなかったのには、必ず理由があります。
- Webに対してネガティブな印象が強かった
- そもそも新しい取り組みを好まない社風がある
- 理解できないものにはお金を出したくない雰囲気がある
こういった背景がある中で、勢いだけで大きな予算を取って大きく外してしまうと、「やっぱりやめよう」という結論になりやすく、二回目のチャンスがなかなか来ません。だからこそ、最初の一歩は慎重に踏み出した方が良いと考えています。
「まだそのタイミングではない」という判断も大事
少し別の例ですが、以前『日経トップリーダー』で読んだモスバーガーのフランチャイズの記事が印象的でした。家族で「フランチャイズをやりたい」と申し込みに来る方は多いそうですが、話を聞いてみると、実際には相当な忙しさになることや、家族との時間がほとんど取れない可能性など、現実的な条件を理解しきれていないことがあるそうです。
そうした場合には、「まだ今はそのタイミングではありません」とお伝えすることもあるという内容でした。これはWebにもかなり近いと感じています。
Webの本格的な取り組みは、単発のイベントではなく、生活が変わるくらいの「習慣」と「体制」の話になります。そこが整っていない状態で、いきなりアクセルだけ踏んでしまうと、後からの反動が大きくなります。
私自身もご相談を受ける中で、「今はまだタイミングではないと思います」とお伝えすることが少なくありません。耳に優しい話ではないかもしれませんが、長い目で見たときのリスクを考えると、そこはきちんとお伝えした方が良いと考えています。
「予算がない」は大きく二つのパターンがある
予算が取れないと言っても、その中身は大きく二つに分けられます。
1. 本当に予算を捻出するのが難しいケース
一つ目は、そもそもビジネス規模的に予算を付けるのが難しいケースです。創業間もない会社や個人事業のように、バランスシート自体が小さく、Webに年間で100〜120万円程度の予算を組むことすら厳しい、という状況です。
広告費にしても、ある程度まとめて予算をかけないと検証しづらい部分がありますが、その最低ラインすら現実的でない、ということもあります。この場合、「やるかやらないか」というより「そもそも資金的に無理がある」という意味での「予算がない」です。
2. 会社として予算はあるが、Webには回ってこないケース
もう一つは、会社全体としてはセールスやマーケティングに予算を回す余地があるものの、「Webに使う」ことに対して前向きではないケースです。
例えば、すでにフィールドセールスが強く、既存の紹介ルートや営業網で十分に売上を立てられている場合、「今さらWebにまとまったお金をかけなくてもいいのでは」と考えられがちです。
実際には、毎月の販促予備費として100万円、200万円を確保している会社でも、その中からWebに10万円を振り向けることには抵抗がある、という話をよく聞きます。「よく分からないもの」に使うのは気が進まない、という気持ちも理解できます。
この二つのケースは事情が違うように見えますが、最初にやるべきことは意外と共通しています。その共通部分を、ここから掘り下げていきます。
予算が少ないなら「自分中心でやる覚悟」が必要になる
結論から言うと、予算規模が小さい場合は、「自分中心でやるしかない」という前提に立った方が現実的です。多くの場合、Web担当者は専任ではなく、他の業務と兼務していますし、小規模な事業であれば経営者自身が担当になります。
私のところにご相談に来る方を見ていても、うまくWebを活用できている会社は、最初のスタート時点で「自分中心」で動いていたケースが非常に多いです。誰かに丸投げするのではなく、自分で手を動かして小さく始めているのです。
ただし、闇雲に自分で頑張れば良いという話ではありません。重要なのは、「寄り道せず、結果にたどり着くための動き方」を意識することです。
最初のゴールは「大きな成果」ではなく「見える結果」
ここで、最初に注意したいのが「第一目的の置き方」です。どうしても「すぐ売上を上げる」「コンバージョンを増やす」といった分かりやすい成果をゴールに置きたくなりますが、予算が少ない立ち上がりの段階で、そこだけを第一目的にしてしまうと、途中で止まってしまうリスクが高くなります。
特に、他の業務との兼務でWebを担当している場合、周りからこう見られがちです。
- 「忙しいのに、よく分からないWebの仕事までやらなくてはならないのか」
- 「目に見える変化がないなら、別の業務を優先してほしい」
そこで私がよくお伝えしているのは、「最初の目的は、とにかく見える結果を出すことに置きましょう」という考え方です。
ここでいう見える結果とは、例えば次のようなものです。
- 新しいホームページを立ち上げた
- 月にどれくらいの人がサイトに来てくれるようになったかを共有する
- 問い合わせが何件かでも発生したことを社内に伝える
- 狙っていたキーワードで検索順位が上がったことを分かりやすく示す
アクセス解析の画面を見せても伝わりにくい場合には、「ビフォー・アフター」を資料にまとめて見せるなど、プレゼンテーションのつもりで「成果の見える化」をすると良いです。
この段階での本当の目的は、「会社にWebの可能性に目を向けてもらうこと」です。担当者一人の力ではできることが限られているので、最初のゴールは「社内の空気を少し変えること」と考えた方が、長い目で見るとうまくいきやすくなります。
担当者に向いているのは「プレゼンができる人」
この意味では、最初のWeb担当者には「プレゼン力」「企画力」「周りを巻き込む力」がある人が向いています。デジタルスキルは、多少詳しければ十分で、後からいくらでも追いつけます。
それよりも、次のような要素の方が重要だと感じています。
- 社内での信頼が厚く、話を聞いてもらいやすい
- 新しいことを着実に続ける真